2014年2月22日土曜日

[レビュー] 映画「永遠の0」(評価:★★★☆☆)

(※注意:ネタバレあり)

映画のサイトはこちら:
http://www.eienno-zero.jp/index.html

主人公が今は亡き祖父を調べていて,
「太平洋戦争の海軍パイロットで,
戦線から離脱を繰り返し『臆病者』と罵られた祖父(宮部)が
何故特攻隊に志願して死んだか?」
という疑問から始まり,関係者にインタビューを繰り返しながら
事実を垣間見ていく話。

老人たちが若者に向けて説明しながら語る形式は,
主人公に近い世代である自分にすんなり入ってよかった。

当時を描いたシーンも,少なくとも軍事の素人の自分には
あまり違和感なく見ることができた。

ただ,終盤の,戦後のエピソードはいまいち。
宮部が死んだあと,彼の奥さんがどのように再婚に至ったか,
を説明するという目的があったのだろうけど,
シーンが中途半端に短かかったし,
相手の男性を受け入れる理由が
ちょっと理屈っぽくて感情移入できなかった。

また,最後の方は説教臭い話が多くてついていけなかった。

なので,終盤の失速がなければ星4つかな。

全体的な評価はここまで。

以下,あるシーンをきっかけに思ったこと。

私が一番心が動いたのは,特攻が決まった青年と宮部がふたり,
川に足をつけてくつろいでいるシーン。

青年は,死が決まってから,
これまで考えたこともないことを考えるようになった。
川の水の冷たさなどの,自然の細かい点。
また,自分が死んだ後の日本の未来について。

これを聞いて,私はふと思った。
我々は普段,いろんなことに頭をいっぱいにしているなぁ,と。

「来週締め切りの案件を片付けなきゃ」
「今後のキャリアはどうすべきか」
「ゴミ出さなきゃ」

けれども,もうすぐ死ぬことが確定すると,
自分の将来に関する心配,雑念は全て消えてなくなってしまう。

頭の中を占めていたものが消えると余裕が出てくるから,
これまで気付かなかったことを敏感に感じ取れたり,
考える暇がなかったことを考えられるようになる,ということなのだろうか。

変な話だけど「羨ましい」と思ってしまった。

もちろん死ぬのは嫌だ。

けれども,
「今感じていることに集中できる」
「自分の考えたいことだけ考えることができる」
というのは,とても贅沢な時間なので羨ましい。

念を押しておくと,
ここでは別に,戦争や特攻の是非について意見を言うつもりはない。

また,実際の特攻隊員にこの青年のような瞬間があったのかは問題にしていない。

私が注目したのは,
「普段の生活の雑念を取ると,心の奥底のことに気づくようになる」
ということだ。

自己啓発系の本によく出てくる
「もしあなたが1年後に死ぬとしたら,この先何をしたいですか?」
というタイプの質問で,自分の本音を洗い出すことに通じるだろう。

普段,頭を雑念に支配されていて,
死ぬ間際だけ,自分の本音を知るのは勿体無いと私は思う。

なので,時々でいいので,
自分の本音に耳を傾ける時間(散歩とか)を維持することを
心がけようと思った。

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