2015年1月13日火曜日

[語学学習]カタカナ英語脳から脱却するための音楽3曲 - 口を楽器と考えよう

はじめに


カタカナ英語が染み付いた人が、ネイティブの英語を聞き取るのは至難の業です。

何かしらの音は聞き取れているはずですが、
音にマッチする「カタカナ英語」が見つからない、
そのために意味が取れず、「聞き取れない」と思いがちです。

たとえば "What are you ..." を「ホワット アー ユー」と思っているので、
ネイティブが「ワタユ」と発音すると、聞き取れない、というものです。

私は「聞こえる通りに聞く」というアドバイスを聞いたことがありますが、
言うは易く行うは難しでした。
どうしても頭の中でカタカナ英語が割り込んできます。

この癖を抜くにはどうすればいいか、と試行錯誤した結果、
音楽を活用すると比較的うまく行きました。

というわけで、以下では
カタカナ英語脳をアンインストールするために役立った音楽3曲を紹介します。

その音楽しか駄目というわけではなく、
同じ特徴を持つものなら自分の好きな音楽に置き換えても問題ありません。

1. Adiemus "Beyond the century"




昔、NHK「映像の20世紀」に使われていた曲なので
聞いたことがある人もいるかと思います。

1曲目の特徴は歌詞に意味がない歌です。

歌詞が何語で何を言っているのか、を調べたところ、
アディエマス語という架空の言語だということが分かりました。

アディエマス語辞典はないので意味を調べようがありません。

この「意味のない」曲を聞いていて気づいたのは、
人間の声は楽器のひとつであるということでした。

アカペラや動物の鳴き真似をはじめとして、
自分の口は日本語を話すだけでなく、いろんな種類の音を出せる、という、
文章にしてみれば至極当たり前のことでした。

2. Loituma "Ievan Polkka"




「ネギ回し」ネタに使われて有名になった曲です。

2曲目の特徴は日本語でも英語でもない歌です。
英語だと無意識に意味を取ろうとして耳の訓練の邪魔になるので、
習ったことのない言語の曲を使います。

この曲、序盤と終盤はフィンランドの方言で歌われています。
中盤は何か言っているように聞こえますが、特に意味はありません。

ネットを探せばカタカナで書かれた空耳歌詞カードが見つかりますが、見ないようにしましょう。
自分で歌詞カード作るのもやめましょう。
耳の訓練の邪魔になるからです。

私の場合、歌詞カードの文字を見ると、文字を映像として覚えてしまって
それを無意識に頭の中で読み上げてしまうので、
ちゃんと聞かなくなるように思えます。

たとえば、ある外国の歌を歌詞なしで聞いただけでは特に何も思わなかったのに、
空耳の歌詞を見ながら聞いたら大爆笑した、という経験がありました。
つまり、耳から聞いた音声は、目で見た文字に引きずられて変質するということです。

ですので、繰り返しになりますが、
歌詞カードは見ないで純粋に音楽として繰り返し聞くのがおすすめです。

3. BareNaked Ladies "Big Bang Theory theme"




アメリカのコメディー "The Big Bang Theory" の主題歌です。
ちなみにコメディは日本でも日本語吹き替えで TV 放映されたり
DVD 化されたりしています。

最後、3曲目の特徴はめちゃくちゃ早口の英語の歌です。
早口の英語の洋楽を聞く人ならば、
新曲などの歌詞を覚えていない歌でやってみるとよいでしょう。

さきほどの節と同様に、歌詞カードは見ないようにします。
カタカナや英語で歌詞カードを作るのも駄目です。
ひたすら音や彼らの口の動きに集中するのが近道です。

私は最初、欲に負けて歌詞カードを見てしまったのですが、失敗でした。
頑張って早口で読みあげても曲に引き離されてしまいました。
彼らはそれほど頑張っている感じではないのに、です

原因は、ネイティブの彼らが音の結合や省略を頻繁にやっていたことにありました。
省略が起こっている場所に、私は省略なしの言葉を詰め込もうとしていたのです。
道理で置いて行かれるわけです。

これに気づいて歌詞カードを見ないようにし、
彼らの音声のモノマネに専念するようにしました。
すると、少しずつ歌える場所が増えてきました。

時々、聞こえるけどそのまま自分の口で再生できない箇所があったので
楽器の練習のように、口になじむまで練習します。

歌えるようになってから歌詞を確認し、
「ここはこう省略して歌うのか」と学習しています。

さいごに


カタカナ英語の発音はネイティブのそれと乖離していることが多いでしょう。
その状態では、ネイティブが何が言っているのか分からないことが多々あります。

ネイティブの発音を聞き取るためには「カタカナ英語」の発音を一旦忘れ、
ネイティブの音声をそのまま音として受け取る訓練をするのも良いと思います。

例えるならば、文字も読めない小さな子が新しい言葉を覚えるように、
音声をそのままモノマネするのがベストなのでしょう。
しかし、既に文字を知ってしまった人には難しいかもしれません。

このエントリでは、その壁を克服するために、
以下の順序で音楽を聞く訓練法を紹介しました。

    1. 歌詞に意味がない歌
    2. 日本語でも英語でもない歌
    3. めちゃくちゃ早口の英語の歌

外国語のリスニングの際には「言語」という枠で捉えるのではなく、
人間の口を楽器として奏でる「音楽」という、より大きな枠として捉えるほうが
壁がひとつ減らせるのでは、と思います。