2012年2月29日水曜日

作業動画の作り方


== 概要

動画投稿サイトへの投稿を念頭に,
PC のデスクトップでの作業風景 (いわゆるデモ動画) を録画する方法を説明する.

== 環境

* OS: Debian GNU/Linux 6.0 (Squeeze)

== ソフトウェアのインストール

 \$ sudo apt-get update
 \$ sudo apt-get install gtk-recordmydesktop   # 録画ツール
 \$ sudo apt-get install mplayer       # 動画プレイヤー
 \$ sudo apt-get install mencoder     # 手元でエンコードする場合は必要

好きなソフトウェアを使いたい場合は適宜読み替えて良い.

=== ディスプレイの設定

この後の作業でスクリーン全体をキャプチャする場合は
負荷を小さくするために解像度を低めにしておいたほうがよい.

Debian squeeze の場合はメニューの
設定 -> デスクトップで解像度を適当な値にする.

== 録画前の準備

=== ウィンドウの配置

録画に必要なアプリケーションを立ち上げ,
好きな場所にウィンドウを配置する.

=== 見やすい動画を作るコツ

* 作業の合間は数秒待つ
* 視聴者がプロンプトやカーソルを見失わないよう, ショートカットなどは使わない
* 注目すべき場所をマウスで指す

== 録画

=== GUI の場合

以下のコマンドを実行する.
これを実行しただけではまだ録画は開始されない.

  \$ gtk-recordMyDesktop

* 音声を録音しない場合
  *「音質」の横のチェックを外す.
* 画面の一部を録画する場合
  * recordMyDesktop の中のデスクトップ画面のサムネイルの中をドラッグして選択する
* 保存される動画名の変更
  * recordMyDesktop の中の「別名で保存」ボタンを選択する

負荷軽減のため「ビデオ質」は 100 のままにするとよい.
おそらく生で出力しているため, 動画のサイズは大きくなるが,
後でエンコードすればよい.

recordMyDesktop 内にある「録音」ボタンを押すか,
画面右上のパネル内の赤丸ボタンを押すかすると録画が始まる.

パネル内の白い四角いボタン (もともと赤丸ボタンだった場所) を押すと録画が終了する.

エンコードのプログレスバーが出てくるのでしばらく待つ.

デフォルトでは out.ogv というファイルができている.

=== CUI の場合

例:

 \$  recordmydesktop --no-sound -o test.ogv --delay 5

上記の場合は, コマンド実行後から 5 秒後に音声なしの録画が始まり,
動画は test.ogv に出力される.
その他のオプションは man の recordmydesktop(1) を参照.

Ctrl-c で録画が終了する.

== 録画された動画の確認方法

適当な動画プレイヤーで開く.

 \$ mplayer out.ogv

== アップロード

適当な動画投稿サイトにアップロードする.

以下のサイトでは, ogv 形式のままで
アップロードできることが確認されている.

* Youtube: http://www.youtube.com/
  * 再エンコード完了までの時間は短め (数分?)
* Vimeo: http://vimeo.com/
  * 再エンコード完了までの時間は長め (数十分?)
  * 他のユーザが元の動画ファイルをダウンロードできる

== ブログなどへの貼り方

=== Vimeo の場合

動画の上でカーソルを動かすと右上に EMBED と表示されるのでそれを選択.
すると貼りつけ用の HTML ソースが表示されるのでそれをコピペすればよい.

== 完成例

((:
GPhys 最初の一歩 from stsnoda on Vimeo.
:))
== (option) 投稿サイトでのエンコード回避

サイトによっては, こちらでアップロードする動画の形式やビットレートなどにより
エンコードされることなくアップロードされる.
詳しくは「再エンコード 回避」などで検索すること.

== (option) 手元でのエンコード

ogv 形式に対応していない投稿サイトでは
自分でエンコードする必要がある.

音声のない ogv から mp4 にエンコードする例:

  \$ mencoder out.ogv -ovc lavc -lavcopts vcodec=mpeg4 -o out.mp4

== 参考文献

* PCの画面をキャプチャした動画をvimeoにアップロードするまでの手順 - seToの日記
  * http://d.hatena.ne.jp/seTo/20100628/1277722476
* [ gtk-recordMyDesktop スクリーンキャスト(動画のデスクトップキャプチャー)] by ひねもすLinux
  * http://linuxos.blog102.fc2.com/blog-entry-26.html
* ubuntu上でogvやaviをmp4に変換する - KRAKENBEAL RECORDS
  * http://krakenbeal.blogspot.com/2010/06/ubuntuogvavimp4.html
* vimeoの貼り方 - 札幌トラックバイク日記
  * http://d.hatena.ne.jp/HOSH/20081208/1228740343

2012年2月8日水曜日

修論発表会心得


過去の自分の見聞や経験をもとにした心得まとめです。
学会発表にも応用できます。

== はじめに

修論発表会を見ていると、発表内容ではなく足回りの不備でこけるケースを見ることがあります。
家に帰るまでも遠足、会場への行き方を調べるのも受験、
ちゃんと発表できる状況に周辺環境を整えておくのも修論発表会です。

このエントリでは足回りの固め方をまとめています。

== PC の不具合を避ける

過去の発表会で、聴衆の目の前で OS 再起動が始まった事態を目にしたことがあります。
人から聞いたのも含めるとこれまでに 3 回知っているのですが、以下の二つに分けられます。

* 自分の発表直前で PC をスタンバイから復帰しようとして失敗した
  * 対策: 自分の前の人の発表が始まった段階で、発表できる状態にしておきましょう。
* 重い動画を再生して OS が落ちた
  * 対策: 直前に資料を差し替えた場合は、最終版資料を再生して問題がないか確認しましょう。
    発表会の朝に OS を再起動して余計なプロセスを削除しておくのもよいでしょう。

最近は昔より OS が安定しているので、いきなり再起動という事態にはなりにくいと想像されます。
しかし、普段よりも PC を酷使しているので不具合は起こりやすくなっているでしょう。
不具合を避けるためにメンテナンスが重要なのは変わりません。

== スライドの投影確認

会場での発表スライドの投影チェックは「必ず」行いましょう。
研究室と会場で同じように映るとは限りません。
色の映り具合によっては、図や字が見えにくくなり、現場での修正が必要になることもあります。
また、全ページ確認しておくのが無難です。

== 発表者交代時のもたつきをなくす

会場でのチェックでもうひとつ重要なのが、発表者の入れ替わり方の把握です。
切替器があるケースでは、切り替える方法を熟知しておきましょう。
もたもたして発表時間が減ったり、座長に注意されたりすると、全力を出せません。

さらに、一見細かいですが、レーザーポインターやマイクの使い方も把握しておきましょう。
発表本番では強い緊張のため、不確定要素への対処力が落ちます。
できるだけ現場に触れて一挙一動をイメージトレーニングしておくと、発表本番がスムーズに行きます。

== 質疑応答 (2012/02/08 後から追記)

質疑応答で、先生の質問が意味不明なことがよくあります。
発表する学生が、制限時間のプレッシャーのためか無理に答えようとして
見当違いのことを言い、先生を苛立たせるケースがあります。
質問が分からないときは「それは○○ということですか?」
と会話したほうがいいでしょう。
普段の研究室の発表なら当たり前ですけど、本番では結構忘れがちです。

先生によっては普段より強い口調で
質問・批判してくるように感じることがあるので驚かないようにしましょう。
わざと圧迫面接っぽくしている人もいるのかもしれませんが、
おそらく、授業している状況しかしらない先生が研究モードになっただけ、
というだけなのが多いと想像します。

== おわりに

私は「修論発表会には魔物がいる」と例えることがありますが、その原因は

* 普段行わないような PC の使い方をする
* 慣れない会場で発表をする

に集約されると思います。
「普段ならやらないミス」をしないためには、
PC を再起動したり、会場で本番さながらの動作確認をしたり、
イメージトレーニングすることによって
環境をできるだけ「普段の状態」に近づけることが、
重要です。