2012年1月27日金曜日

タイピングを鍛える以外で 高速に入力するための三つの方法


== はじめに

文字入力が遅いと思考にも悪影響を及ぼします。
頭の中を吐き出すのに時間がかかるとその度に思考が妨げられます。
そして書くのが遅くて億劫だと、
試しに書いて考えてみる、ということをやらなくなってしまうので、
思考もなかなか進みません。

タイピングは練習すれば早くなりますが,
ある程度以上は限界があります
( ((<"タイピング技能検定"|URL:http://web.e-typing.ne.jp/outline/text1.htm>)) によると上級者で 300 字/分程度)。
今回はその限界を伸ばす方法を三つ紹介します。
いずれも多くの OS やアプリに有効であり、一度設定してしまえば済むものです。

== 1. 予測変換機能のついた変換エンジンを導入する

予測変換機能とは、携帯電話での入力のように、
途中まで入力したらシステム側が変換候補を先回りして提示してくれるものです。

私は ((<"Google 日本語入力"|URL:http://www.google.com/intl/ja/ime/>)) を使っています。

Google 日本語入力に限らず, 最近はいろいろな変換エンジンが
予測変換をサポートするようになってきているようです。

=== Windows, Mac の場合

上記ページからダウンロードできるインストーラを使えば入ります。

=== Linux の場合

Google 日本語入力は mozc という名前になります。
Debian Linux (squeeze) でしたら squeeze-backports を apt-line に追記すれば、

  # apt-get install scim-mozc mozc-server mozc-utils-gui

などで利用できます。
ここでは後で述べる理由から、scim-mozc を使っています (SCIM はもはやメンテされてないので微妙な気分ですが)。ibus-mozc, uim-mozc もありますので好みに応じてどうぞ (注意: 記事執筆時点の私の環境では、uim-mozc はインストール時にエラーになるため使えていません)。
また, Emacs 用に emacs-mozc,  emacs-mozc-bin パッケージも提供されています。

SCIM の場合は

  ツールバーの 「システム」 -> 「設定」 -> 「入力メソッド切替器」 -> scim-bridge

を選択したうえで ~/.xprofile に以下を記入します。

  ### scim
  export XMODIFIERS="@im=SCIM"
  export GTK_IM_MODULE="scim-bridge"
  export QT_IM_MODULE="scim-bridge"
  scim-bridge &


この後、ログインしなすと設定が有効になります。

最初は、希望通りの変換候補が現れたときに Tab を押すのに慣れないかもしれませんが、
いったん少ないタイピングで長い候補をザクザクと打てる快感を味わってしまうと
Tab キーの出番がないかと待ち遠しくなると思います。

== 2. 短縮語登録

長くてよく使う言葉、言い回しは
変換エンジンの辞書登録機能を使って、
少ないタイピングで変換してしまうようにします。
具体的にどういうものを登録したらいいのかは
「辞書登録」「単語登録」で検索するとたくさん出てきますが、
基本的には「自分の書く文章によく出てくる単語、言い回し」になります。
例としては以下のようになります。

* 人名
* 住所
* 電話番号
* メールアドレス
* URL
* 挨拶
* 曜日
* プログラムやマークアップ言語の断片

自分が過去に書いたメールを見返すと、
もっとヒントが見つかるかもしれません。
案内文やリマインダはテンプレートを作ってしまうのも手ですね。

私はこういうのも登録しています

* ここから: --------------- ここから ---------------  (「ここまで」も同様)
* ちわく: 地球惑星科学
* けn: 研究室
* みー: ミーティング

おまけ: 一般的ではないですが
((<"地球物理辞書"|URL:http://www.chibutsu.org/jisho/>))
を入れれば地球惑星科学関連の専門用語も登録されます。


== 3. キーマップの変更

少ないタイピングで多くの文字を、という以外にも、
よく使うキーを打ちやすい場所に割り当てる、という方法で
高速化をはかることもできます。

よく言われているのは JIS キーボードでの "CapsLock" と "Ctrl" の入れ替えですね。
こうすると左手小指を少しずらすだけで "Ctrl" に届くようになり、
小指の負担も減ります。

上記に加えて提案ですが、
"半角/全角" も別の場所に移すのをお勧めします。
移動先は、スペースキー横の「変換」「無変換」で、

* 「変換」を押すと全角になる
* 「無変換」を押すと半角になる

というようにします。
Mac では既に「かな」「英数」があるのでそうなっていますね。
こうする利点は以下の二点です。

* 入力が高速になる。
  「半角/全角」を押すのには左手の小指を伸ばす必要があり、
  ホームポジションを戻すためのタイムラグが生じたが、
  新しい位置だと親指のすぐ近くなので一瞬で押せる。しかもホームポジションは崩れない。
* ミスタイプが減る。「半角/全角」でトグルする方式だと、
  現在どっちの状況なのか忘れると半角と全角がひっくり返るので
  F10 キーを押すなどの修正が必要になる。新しい位置だと忘れても
  入力したいモードのキーを押せば必ず期待するモードになる
  (もちろん変換エンジンのアイコンを見ればどっちのモードかは分かりますが、
  いちいち視線移動して確認するよりは上記のように割り当てたほうが速いと思います)。

#余談: 使わなくなった「半角/全角」に "Esc" を割り当てるとさらに便利になるかもしれません。私はまだ試していません。

=== Windows の場合

スバリそのものの記事は見つからないのですが、
((<"Atokで入力ミスを減らす方法(半角/全角|漢字) | Web scratch"|URL:http://efcl.info/2008/0329/res123/>))
が参考になります。
上記は ATOK の場合ですが、MS IME でも似たような設定方法になります。

=== Linux の場合

Debian Linux (squeeze) で scim-mozc を入れた場合は、
「システム」 -> 「設定」 -> 「SCIM 入力メソッドの設定」で設定画面を表示し、
以下の設定をします。

* 「フロントエンド」 -> 「全体設定」の「オプション」で、キーボード配列を「日本語」にする
* 「フロントエンド」 -> 「全体設定」の「ホットキー」に以下を割り当て
  * 「開始」を Henkan (「変換」キー) にする
  * 「終了」を Muhenkan (「無変換」キー) にする
* 「IM エンジン」の「全体設定」の「日本語」で mozc にチェックが入っているか確認

ちなみに ibus-mozc では開始と終了に同じキーしか割り当てられないようなので
あえて scim-mozc を使った次第です。


== まとめ

今回、入力の高速化のために以下の方法を紹介しました。

(1) 予測変換の導入
(2) 短縮語登録
(3) キーマップの変更

最初は慣れないかもしれませんが、
慣れてくると以前より高速かつストレスが少なく入力できるように
なっているはずです。

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