その過程の気付きをもとに、
日本人が L と R の発音の聞き分けが苦手である理由について
自分なりの仮説を思いつきました。
タイトルにあるとおり「R の前半の無意識な聞き飛ばし」だと考えています。
私は音声の専門家ではないので間違っているかもしれませんが、
以下で詳しく説明してみます。
前提
聞きかじりの話ですが、
赤ちゃんは全ての音が「そのまま」聞こえるそうです。
言い換えれば、親の声も、機械の動作音も、ドアを閉めた時の部屋の反響音も、
全てが一緒くたになって聞こえるそうです。
それぞれの音を分離して聞くことはできていないとか。
成長していくうちにそれぞれの音を聞き分けることができるようになります。
たとえば多少の騒音の中でも、会話だけ集中して聞くことができます。
「言語」と「雑音」を無意識に区別できるようになっているのです。
日本語では「雑音」扱いでも、英語では意味がある音
私が発音練習用の CD を初めて再生したときのことでした。
スピーカーから時折「サー」という音しか流れず、
声が聞こえてきません。
CD に不具合があるのでは、と疑いました。
と思っていたら、音声が流れ始めました。
ここで初めてテキストを見てみると、
一番最初は子音 "s" のみを発声するパートでした。
「サー」という雑音に聞こえた音は、
"s" を長時間発声している音でした。
口を小さく開けて、歯の隙間から「スー」と息を出す音です。
ここで、何が「言語」で何が「雑音」なのかは言語の種類に依存する、
ということに気づきました。
日本語で育った私は、日本語では意味を成さない音を
雑音扱いするようになっていたのです。
"s" は単独では日本語に出てこないので
無意識に聞き飛ばし、ありもしない「音声」を聞こうとしていたのでした。
こういう種類の音は "s" 以外にも多くあり、
「そりゃ、リスニングで聞き取れないわけだ」と納得しました。
日本人には L と R がどう聞こえるか
本題に入ります。
L と R の発音を無理やりカタカナで書くと、
L は日本語の「ラ」に近いですが、
R は「ゥラ」という感じです。
ここでの「ゥ」は earth や bird の「アー」と同じ音です。
発音記号では、流派によりますが、ae とか ə́ːr とか書きます。
日本語にはこれに近い音はありません。
いま便宜上「アー」と書きましたが、実際は動物が唸るような音に近いです。
日本語では唸り声は、言語として意味が無いので雑音として扱われます。
結局、R の「ゥラ」は前半の「ゥ」が無意識に聞き飛ばされるので
後半の「ラ」だけが聞こえます。
よって L と R はいずれも「ラ」に聞こえます。
注意:厳密には、R の後半は L と同じ音ではありませんが、ここでは説明を割愛します。
まとめ
日本語で育つと、R の前半が雑音にしか聞こえないので
無意識に聞き飛ばしてしまい、L と区別がつかなくなる、
というのが私の仮説です。
これを英語上達に応用するならば、
上記で紹介した唸るような音をはじめ、
無意識に聞き飛ばしてしまう「雑音」も
英語では「意味のある音」でありうる、
と念頭に置いて練習することが重要でしょう。
私の場合は
「人間の口はどこまで変な音を出せるか?」
「雑音らしい音も含めて完全に物真似してみよう」
というくらいの心構えでリスニングや発音練習をしています。
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